【雑誌記事再掲】「RGvsハブ」は 語るべきことなき頂上決戦

時計の針が12の上で重なり、日付が12月20日に変わった。これから19時間後、地上では漫才の祭典『M-1グランプリ2008』が行われる。その最中、新宿の地下では何の因果か同時代に生まれた二人の芸人が、くだらなさの雌雄を決しようとしていた。 その芸人とは、…

【雑誌記事再掲】新作落語の雄によるハイリスク&ノーガードの落語論

今さらながら、三遊亭円丈という落語家がいる。特徴は黒フレームのメガネにワッペンをつけた着物。四〇年近くもの間、落語界では冷遇されていた新作落語をバリバリ作り続け、今や花形の春風亭昇太や柳家喬太郎らに影響を与えた開拓者だ。 今年の五月、円丈は…

魁!!男塾コスプレ芸人によるお笑い天挑五輪大武会(シアターD)

村上春樹が物語構造を学んだ本だとカミングアウトし、ブラッド・ピットがハリウッド映画化の版権を買取り、宮下あきら先生が紫綬褒章を受章して、『魁!男塾』再評価が高まるような機運はまったくない2014年5月。このタイミングでいきなり『男塾コスプレ芸人…

2014年度ノーセンスユニークボケ王決定戦〜前半〜(新宿角座)

永野、オジンオズボーン篠宮、新宿カウボーイかねきよ、サンシャイン池崎などの錚々たる痴れ者たちが、思いたった瞬間、後先を考えずにセンス不問でボケまくる「表現」というより「排泄」に限りなく近いライブ。という噂を聞いて見に行く。 幕が開くと、どう…

モノマネ四暗刻 吉本地下モノマネ王座決定戦!(シアターD)

あれは20年も前になるのか、モノマネ業界の頂点にモノマネ四天王が君臨していた時代があった。その後、四天王が衰退すると、モノマネ四賢人、モノマネ四大老、モノマネ四谷大塚、モノマネ四肢痙攣、モノマネ4Pの栄枯盛衰を経て、今や時代はモノマネ四暗…

天竺鼠単独ライブ「大阪のことを愛してますライブ in Tokyo」(ルミネtheよしもと)

ブリッジVTRを見上げる時間が長くて首が疲れた、という印象でライブが終わりかけた時、そのVTR映像に東野幸治が現れた。「キングオブコント」で放送された天竺鼠応援コメントである。「フレー、フレー、天竺鼠〜」と空洞の瞳&情動の一切感じられない…

ダイナマイト関西(ルミネtheよしもと)

『IPPONグランプリ』の台頭によって、しばらくなりを潜めていた「ダイナマイト関西」が久方ぶりに復活。鬱憤がたまった面持ちのバッファロー吾郎A先生は、「よそは知らないですけど、うちはガチですから」のキラー発言を解禁した。こんなに堂々と『笑点』の…

激情プロレスリング(ルミネtheよしもと)

事件が起きた。 新日本プロレス所属のレスラーとよしもと芸人が旧世代と新世代に分かれて鍔迫り合いを繰り広げるこのイベント、「がっかりしたこと」をテーマに仲間の身内ネタを暴露するコーナーで事件は起きた。 ライブの途中に盛り上げる起爆剤として、南…

シソンヌコントライブ「une」(赤坂RED/THEATER)

ついに吉本の劇場を飛び出したシソンヌの単独。赤坂という土地、業界人が蘭を送るのに似つかわしい劇場受付、小ぢんまりしたキャパシティ、映像、照明、音響、衣装、全てが瀟洒だ。以前、ブロードキャスト・房野がシソンヌに向かって吐いた「ははあ。ぶって…

本坊元児と申します(シアターD)

ツイッターに書き込む飯場の不満がなぜか文学的散文に昇華されるプロレタリア文学芸人・ソラシド本坊のライブへ行くと、3連休の最終日の夜にもかかわらず、ほぼ満席。本人が説明したところによれば、「昨日、笑い飯・西田さんの結婚式二次会で披露したピン…

激情プロレスリング(ルミネtheよしもと)

新日本プロレス道場にロケで出向いた野性爆弾・川島が「臭い」と発した一言により起こった、新日本プロレスと吉本芸人による全面戦争。各試合の展開、勝敗、乱入が大変スムーズに進行し、週刊ファイト・井上編集長の箴言「プロレスは底が丸見えの底なし沼」…

早すぎる天才!? 23世紀の喜劇王・キップリンのおもしろさを世の中に広める会(シアターD)

必要以上に完成度の高いモノマネ、小太りなのに敏捷な動き、まるでメッセージがあるかのような態度で自信満々に放つ意味のない替え歌を武器に、NSC合宿に乗り込んでは目が開きかけた芸人の卵たちに「カリスマ」の刷り込みをせっせと行う托卵芸人ハンマミ…

お笑い世界遺産認定会議(シアターD)

富士山が世界遺産に登録される数週間前、演芸界の世界遺産を認定するライブが行われていた。当然、チャップリンの『独裁者』、古今亭志ん生の『お直し』、やくみつる先生の4コママンガなどが検討されるのかと足を運んでみると、候補に挙がっていたのは「え…

世田谷baseよしもと

1ヶ月前に発売した雑誌ながら、集英社の総合誌『kotoba』の連載「無名の名・芸人伝」で、コウタ・シャイニング(中山功太)を取り上げています。コウタさん、デスペラード武井さん、でかした!グッサン、森さん、取材協力ありがとうございました。7月にルミ…

ニューヨーク単独ライブ「Sex and New York」(ヨシモト∞ホール)

キングコング西野がニューヨークで開催した個展が見たいのだが、渡航費も時間もないので妥協して東京吉本若手のニューヨーク単独へ。発売間もなくチケットを購入しようとしたら指定席B列指定だったため、そんなに前で見ると「西野のニューヨーク個展に行こ…

本坊元児と申します(阿佐ヶ谷ロフト)

大阪から上京後、芸人としての仕事がほとんどなく、肉体系派遣労働者としてヘルメットつきの頭角を現すようになったソラシド本坊が、日曜の13時からプロレタリアートーク(飯場の不満)に興じるライブ。以前、千鳥ライブのゲストに呼ばれた時も掘削機だのド…

イタダキライブ(シアターD)

芸歴10年以上のお笑いを彷徨う芸人たちが集結するイタダキライブは、出演枠が広がったのか、これまで以上の芸人の多さ。そんな言葉あるのか知らないが、負債を増資したような状況にぐっとくる。 さてこの日、私はとある用事でお笑いライブが初めてという編集…

とにかく醜い争い! 第1回松竹芸能杯心 のブスNO.1決定戦(新宿角座)

「心のブスNo1決定戦」・・・。響きからに黒くてゲスいゴシップが渦巻いてそうで、新宿ピカデリーで映画を観たついでに覗いてみる。そしてこのライブは私にとって生涯忘れられないライブになった。 なぜか。それは衣装から態度、セコンドのチョイスまで、あ…

かたつむり単独ライブ「復活」(渋谷区文化総合センター大和田伝承ホール)

かたつむりが活動を再開した。あのあの出鱈目で、ふざけて、かぶきまくったコンビだ。ツッコミ担当の章吾が「月島にある実家の居酒屋を手伝うため」という切実な理由から、ほんのりと姿を消して3年。活動休止イベントに行った身としては、あの出鱈目で、ふ…

ケンコバと杉作(イイノホール)

イイノホールは東京の中心にある霞ヶ関と日比谷公園を見下ろす、好立地の劇場だ。創業110年を誇る飯野海運が「文化や芸術をはじめ、あらゆる知的活動を愛する人のために役立つ存在になりたい」という趣旨のもと運営しており、伝統芸能や講演会などが開催され…

ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ(なかの芸能小劇場)

モノマネ●●連発、と聞いて思い出すのは神奈月である。AKB48『ヘビーローテーション』にのせて、序盤からSIAM SHADEがぶちこまれ、中盤に馳浩、長州力、天龍、前田日明の連発で見る者を絶句させたところに、終盤は嵐だのKARAだの露骨な人数水増しでモノマ…

中津川弦・カヨコの結婚報告演芸会(浅草東洋館)

面識のない中津川弦氏から「以前ブログに取り上げていただき、ありがとうございました。このたび結婚をする事になり「結婚報告演芸会」なる催しを行うので、ご都合が合いましたらご招待いたします」という内容の丁重なメールをいただく。どうもありがたいこ…

風俗店「メルヘン倶楽部」にはラバー製の天使の輪が置いてある

2012年11月9日。吉本の若手芸人メルヘン倶楽部が解散を発表した。あれから私の胸はざわざわしている。コンビで女装して妖精を名乗るあざとい芸風は、今日にでも明日にでも解散しそうに見えて、見た目より何十倍もしぶとかった。そんな耐久性の高い物件が崩壊…

月笑(新宿明治安田生命ホール)

ある見巧者から「マセキのライブで見た、新宿カウボーイとオジンオズボーンの絡みが、ただただ声がデカいわりにやり取りの内容が希薄で壮絶だった」との情報を入手する。そんな絡みが見られるかもしれないと期待して、二組が出演する太田プロの事務所ライブ…

地獄学園CO〜阿鼻叫喚のコーナーライブ〜(シアターD)

MCを務めるガリットチュウとBコース・ハブが、若くてイキのいい芸人を相手にどれだけスベっても連続で大喜利を強要し、さらに肛門へサロンパスを吹きかけるという二大悪行で、文字通り地獄へと誘う巨魁イベント。逆に言えば一時間半のライブ時間、やって…

クロスバー直撃単独ライブ「ベストオブクロスバー2 1889〜2012」(シアターブラッツ)

クロスバー直撃の単独は、イベントタイトルでボケ、ライブ前に配られたアンケートでボケ、当然ネタでボケ、幕間映像でボケ、エンドロールでボケ、最後の挨拶でボケ、出口に置いた花でボケ、渡邊は完全無欠に似てないモノマネ・GOGOヒロミを封印して鯖を…

コマンダンテ単独ライブ「どーもコマンダンテの東京単独です。ほんとかな?ほんとだよ。」 (シアターブラッツ)

ITADAKI FINAL9月(シアターD)

「芸人を引退して、タレントになる」ツイートを書いては消し、それがアングルなのか本気なのか外野は理解できず、台風前の湿った気配を発散させている中山功太。その才能が表舞台から消滅するのはまだ早いと思う人間の一人として偉そうにも何かせねばと思い…

ガリットチュウ単独ライブ「ハイ!!ガリットチュウファンです!〜カミングアウト大作戦〜」(シアターモリエール)

夏の終わりの恒例行事で、ガリットチュウ単独へ。吉本創業百周年記念事業の芝居で大阪に呼ばれた熊谷が、大演出家・ハーバー先生(仮名)と対立する様を克明に描いたドキュメントコント「熊谷vsハーバー先生」が良作。タイトルこそ「vs」になっているものの…

水谷千重子 演歌ひとすじ40周年記念リサイタル(渋谷公会堂)

“友近プレゼンツ”の演歌歌手・水谷千重子リサイタルへ。メディア発信でもないピン芸人のキャラが渋谷公会堂に進出する未曾有の事態にかかわらず、どういう訳か会場にスペシャルな空気はなし。ピンネタを大していじらないまま、友近の芯にある「悪ふざけ」を…