神奈月単独ライブ2007「パーティー☆フォーティーvol.3」(新木場1st RING)

昨年と同じ新木場の会場で日程も同じ。さらに神奈月グッズに身を固めて、客席最前列で声を上げる熱狂的神奈月ファンの若者・通称カンヅキッズたちの顔ぶれまで同じ(その集団が発する危険なオーラはプーチンを支持する青年組織・ナーシにそっくりだ)。スタッフとして働いていた柳原可奈子がいないことを抜かせば全てが同じという、そろそろ季語に組み込まれてもおかしくない国民の行事へ今年も参戦してきた。
今回の目玉は豊富な映像を駆使して半生を振り返る「神奈月版・波瀾万丈」。高校3年時にローカルテレビで奥村聡司として妙にこなれたモノマネを披露する思春期から、あまたのゴングショー番組で割り箸を尻で割り続ける汚れな円熟期までの貴重映像をくまなく抑えて、神奈月ファンにとってはいくらヨダレを垂たしても分泌が追いつかないほど甘美な時間に。その中でも目を引いたのは10年前に『ものまねバトル』で馳浩と長州力のモノマネが爆発的にウケた映像で、これはお笑い史上重要な瞬間であった。今でこそプロレスモノマネや伝わらない系モノマネが跳梁跋扈しているが、かつてメジャーな場で猪木と馬場以外にレスラーのモノマネは流通していなかったのだ。その風習を破ったのは神奈月である。神奈月の成功以降、モノマネはマクロからミクロに変わった。つまりモノマネに近代をもたらしたのがコロッケで、現代史の扉をこじ開けたのは神奈月なのである。
そんな感慨にふけっていると、会場のリングの上では神奈月がSIAM SHADEを歌っていた。もうここまで来ると似ているのか似ていないのか、これがモノマネの何時代に当たるのか、さっぱり分からない。なおライブは1部モノマネ、2部プロレスの構成で、2部のベストバウトは「馳浩vsゴム」でした。心底くだらねえ。