2006-01-01から1年間の記事一覧

シベリア少女鉄道「のだぬカンタービレ」(フジテレビ・マルチシアター)

小劇団とグラビアアイドルがコラボする魅力的な企画ながら、主催がフジテレビということで一挙にキナ臭いスメルが立ち込める夢&工場なイベント。とはいえどの芝居も1時間1500円という意欲的な試みは、見る度に仕掛けが薄くなって「これで2時間3000円はねー…

総理による「再チャレンジできる社会に」の号令の下、敗者復活戦55組が全員決勝へ

今年も有象無象が節穴の瞳でM-1を眺め、瓦礫の言葉を築いている。POISON GIRL BANDを「素人以下」と語る人間と、新聞のテレビ欄に「バラエティ番組でパイを投げていて気分が悪くなった」と投書する者の感性は大して違わない。すべることも食べ物を粗末にする…

5じ6じ(ルミネtheよしもと)

目を引いたのは、20歳の生え際後退型ハゲと27歳の密度過疎化型ハゲがコンビを組んだトレンディエンジェル。そのあまりに特異なビジュアルは、舞台に出た瞬間、即座に「ああ、勝ち組が現れた」と思わせる妖気を発していて、マイナスとマイナスがかけあうとプ…

M-1グランプリ2006敗者復活戦(有明コロシアム)

クリスマス・イブ。その慌しい日に交通の便が悪い有明で。その遠い地にあるテニスのメッカ・有明コロシアムで。その会場も屋根を開けた屋外仕様で。その寒空の下、50組以上が漫才をする。これだけの「わざわざそこまでして漫才やるかね」感がある中で行われ…

戦う君の歌を、戦いすぎて壊れた格闘家が笑うだろう。ファイト!

「週刊ファイト」元編集長の井上義啓氏が亡くなった。 私が「週刊ファイト」を読み出したのは遅きに遅すぎる1年半前。プロレス勃起不全に陥っていた私に精力を注入してくれた久々の活字プロレスだった。毎週発売日になると食い入るように読み込み、で、今年9…

オリコンとはおりものでできたコンツェルン

オリコンが1ジャーナリストである烏賀陽弘道氏を訴えた。ステルス爆撃機が鼻歌歌いながら自転車漕いでる女子高生を掃討するような世紀の蛮行だ。ライターとして職業的道義心も責任感もない私だが、これは他人事ではない。次に銃口を向けられるのは私かもし…

百式2006(ルミネtheよしもと)

2丁拳銃の100分漫才は、相変わらずの完成度の高さ。あらゆるパターンのボケが展開される中、楽しみにしていた修士の雑なボケやノリツッコミ漫才や、終盤の定番・お笑い養成所の生徒が作ったような暴走コントは回を重ねるごとに時間がだらだらと伸び、皮膚感…

ギブUPまで待てない!リターンズ vol.2(新宿FACE)

プロレスを語るべき芸人たちがプロレスについてウダ話をする桃源郷イベントもついに不定期開催ながら3回目に。ケンドーコバヤシ、ユリオカ超特Q、ジョーダンズ・三又のレギュラー陣にハチミツ二郎がくわわって体制はますます磐石に見えたが、トークするうち…

世界のナベアツ(シアターモリエール)

2001年9月。ジャリズム解散後、影をひそめていた渡辺鐘は本多劇場で単独ライブ「うるとらすちゅ〜ぴっど」を開催した。それを劇場で見た私は壮絶なアホさに感動。公演が終わるなり下北沢駅前に飛び出し、「この才能が表舞台に立たないなんておかしいだろ!」…

キュートン12〜メリークソします(シアターモリエール)

原稿をかかえてどうにもならない状況なのに、なぜか今日も劇場へ。2日連続で訪れたシアターモリエールは、昨日はチュートリアルのトークイベントの女性客で埋め尽くされて白い肌のような装いだったのに、今日は薄汚い野郎がそこかしこに点在し紫の湿疹が咲き…

M-1グランプリ2006準決勝(なんばグランド花月)

昨日二度としないと誓ったメモ取りを早くも復活。とろサーモンのところに書いてある「エロさ/雑味/その人間性よ」の意味、読み返しても全く分からないよ! 今週木曜日発売の『ぴあ』関東版で準決勝出場コンビ63組を全組レポしているので、詳しくはそっち読ん…

M-1グランプリ2006準決勝(ルミネtheよしもと)

仕事の都合で生まれて初めてメモを取りながらお笑いを見る。終演後、ノートをまずハマカーンから読み返したら「トップバッター」としか書いていなかった。こんな作業、二度とするまい。

M-1直前!! 漫才の祭典!(ルミネtheよしもと)

12組の芸人がかなり洗練されたネタを披露する高値安定型イベント。パンクブーブーとPOISON GIRL BANDに復調の気配を感じた。 しかし高値安定の中で一組激しすぎる乱高下を描いていたのが中川家。浅草で2本漫才をこなして渋滞の道をたどってきたと語る礼二は…

風が強く吹いて、桶屋が激しく儲かる

恥ずかしながら私は青春小説が好きだ。ジョギングもたしなむ。三浦しをんの『私が語りはじめた彼は』も面白かった。だから箱根駅伝を舞台にした彼女の新刊『風が強く吹いている』は期待を寄せた。そしてさきほど読み終えた冊子を卓袱台の上にのせてローリン…

世界キワモノ演芸最狂タッグトーナメント2006(ロフトプラスワン)

キワモノ演芸初の試みであるタッグマッチは、レイザーラモンRG&フェラおじさんが佐藤江梨子の口に市川海老蔵のスーパー歌舞伎を押しつける伝統芸能や、平成ノブシコブシ・吉村&オコチャが後背位に限りなく近いフォーメーションからブリーフ1枚で体を連結…

スシバーで毒を盛られるが、ガリの殺菌力で一命を取りとめる

今もっともホットな話題の「ロシア元中佐毒殺事件」。新聞やラジオで得た情報を私なりにまとめてみる。 政商ベレゾフスキーを頼ってイギリスに亡命したリトビネンコ元中佐は、死の直前に「ロシア大使館員のアナトリキーエフにモニターされている」と語り、殺…

フットボールアワーとか(シアターモリエール)

通常は客席にほのかなゆとりが残るこのイベント。今回はチュートリアル効果なのかライセンス効果なのか、チケットが即完売したらしく文字通りの満員に。現在のbaseよしもと客の年齢をそのまま5歳あげたような客層は、気持ちだけそのままに終始ざわめいていた…

GO!ヒロミの帰ってきた漫談日本一決定戦`06(池袋手刀)

今日もM-1に行くぞM-1に行くぞM-1に行くぞと題目を唱えていたら、強迫観念が危うい症状を起こして気がつくと漫談日本一決定戦(M-1)の会場に到着。これも漫才のM-1に浮かれる自分を戒めようという教祖様からのありがたい導きと誤解釈して、3時間立ち見の試…

M-1グランプリ2006 東京3回戦(ルミネtheよしもと)

漫才の船が沈むとばかり、全裸でキンキンに冷えた海へ飛び込むような無茶&異形の方法論で挑んだカリカ、ヴィンテージ、鬼ヶ島、ガリットチュウのネタが心に沁みる。カリカは放った弾丸が全て標的に命中し、今頃カリカの面白さに気づいたのかと歯痒くなるほ…

M-1グランプリ2006 東京3回戦(ルミネtheよしもと)

渡り廊下だったら爆笑確実な小学校低学年のキャッチーな笑いをそのまま劇場に移植してしまった末高斗夢とメグちゃん、かじきマグロが大漁旗を振ってけんじるの至らない船出を応援するふくろとじ、笑いの欧州志向が取り返しのつかない方向に転がりだし、その…

フキコシ・ソロ・アクト・ライブ「ⅩⅤⅠⅠⅠ」(原宿クエストホール)

相変わらず常軌を逸した発想の大気圏を高度な身体性で一点突破していく珠玉のライブ。笑いの先に美しさがあったり、かと思えば美しさの奥には笑いがあったりして、結局最後はバカバカしい。「逆パントマイム」や「仰向けコメディアン」など、どのネタも結構…

お笑いセメントマッチ・〆さばヒカル追善興行(誕生八幡神社)

これも供養かと思い向かった追善興行は、その豪華な顔ぶれに息を飲む。〆さばアタルはもちろん、主催のベン村さ来から、ブッチャーブラザースのブッチャー、せーじけーすけ、寺田体育の日、元キリングセンスのシャブ、マグナム北斗、受付には相馬ひろみ、客…

5じ6じ(ルミネtheよしもと)

近年、あらゆる芸人が未踏の”ロコキャラ”に手を染めてきた5GAP・秋本。久しぶりに見たら、いよいよ完成の域というか末期に近づいていた。エンディングでは頭にタオルを巻き、白いタンクトップに裾をまくった七分丈ジーンズと相変わらずのオフィシャルな…

フットボールアワーとか(シアターモリエール)

全体を通してブラックマヨネーズの活躍がやたら目立ったライブ。トークと大喜利では吉田の小ボケがことごとくヒットし、「お見舞いに何を持っていくか」を考えあぐねるいつもの漫才も圧巻。M-1覇者だから面白いのではなく、面白い芸人がM-1を制することを証…

THE GEESE 第2回コントライブ「微生物の友」

どのコントもよく練り上げられていて、ウェルでありメイドでもあり、ウェルかと思えばやっぱりメイドという全編ウェルメイドなライブ。最後に見せた「水フェチの美容室」など、前回に比べるとところどころ狂気じみたシーンもあったが、それでも全ては”理”の…

穴に水やるダム・ソング

ぼんやり自転車を漕いでたら林田健司の「花に水やるラヴ・ソング」が聴きたくなった。偶然、前方にブックオフが見える。入店してCDの棚に直行すると、ピチカート・ファイブみたいなブックレットつきのベスト盤が売っていた。即購入。15曲入りで250円。思い…

あのDJドクター、ヘッドホンにつないだ聴診器で私のBPMを測るんです

今週末の土曜、厚木レコード#13でDJします。mahna mahna閉店に伴いイベントはこれが最後。 http://www.sevendays.com/atsugi-records/ 出番は19〜21時の間のどこか30分。最終回を悼み、ブースの中で昔オリックスにいたDJのバッティングフォームをしたり…

青空寄席(赤旗まつり)

日本で最大規模を誇るロックの祭典「キバ・レッド・フェス」へ。新木場・夢の島公園にひしめく幾多の売店をくぐりぬけ、中央ステージでソウル・フラワー・ユニオンを見る。共産党のロックフェスなのにレッド・ホット・チリ・ペッパーズやシンプリー・レッド…

神奈月単独ライブ「パーティー★フォーティー vol.2」(新木場1st RING)

今発売している『ぴあ』で「萩原流行、石原良純、新庄剛志といった王道の路肩を走るモノマネで、多くの男子と一部の芸人のハートをつかんで放さない男」と紹介された神奈月。というかこれ俺の書いた原稿だ。3500円の実券を握り締めて新木場へ向かうと、会場…

夜王を倒した夜回り先生は、教鞭を置いて去っていった(完)

原作・水谷修、画・土田世紀のマンガ『夜回り先生』を読む。夜回り先生が伝えたいことと土田の表現のレンジが1ナノの狂いもなく合致していて、まるで小西康陽が野宮真貴のために作った楽曲のよう。夜回り先生が先か土田世紀が先か。夜回り先が先生か土田先が…