シベリア少女鉄道「のだぬカンタービレ」(フジテレビ・マルチシアター)

小劇団とグラビアアイドルがコラボする魅力的な企画ながら、主催がフジテレビということで一挙にキナ臭いスメルが立ち込める夢&工場なイベント。とはいえどの芝居も1時間1500円という意欲的な試みは、見る度に仕掛けが薄くなって「これで2時間3000円はねーだろ」とファンを嘆かせていたシベリア少女鉄道のために立ち上げられたかのようだった。
さて大晦日にお台場に向かって見た舞台は、かってトリックを一本釣りして豪快な活造りを提供していたシベリア少女鉄道のアイディアが、刺身に変わりタタキに変わり、いよいよ漁師料理のなめろうに突入した印象。その中に魚肉が入ってるかどうかも正直あやしい。芝居が終わった途端、会場にはまばらな拍手が起こり、誰もが「まあ、この値段なんだし。これはこれで、ね。うん」と苦笑まじりに席を立っていた。
しかし私はこの劇団が潰えた気が全くしなくて、もっと短い尺にすればまだまだ奇想は湧いてくるのではないかと勝手に無責任に何の根拠もなく思う。20分500円の興行なら私はこれからも躊躇なく劇場に足を運ぶ。町の怪しいリフレクソロジーみたいな値段設定が少し気になるけれど。