魁!!男塾コスプレ芸人によるお笑い天挑五輪大武会(シアターD)

村上春樹が物語構造を学んだ本だとカミングアウトし、ブラッド・ピットがハリウッド映画化の版権を買取り、宮下あきら先生が紫綬褒章を受章して、『魁!男塾』再評価が高まるような機運はまったくない2014年5月。このタイミングでいきなり『男塾コスプレ芸人』ライブである。そんな流行していない伝染病の発生源であるシアターDに乗りこんでみれば、すでに舞台には男塾の塾生たちが直進行軍していた。どこから、そしてなぜかがいっさい分からないままわらわらと出現する現象においては、何年か一度ニュースになるボラの大量発生のようである。
ライブの後半に行われた各種コーナーは、男塾一号生・J(インポッシブル井元)をスポンジ竹刀で、男塾三面拳・月光(5GAP秋本)をリアル竹刀で暴行をくわえて盛り上がる、私のような蚊も殺さない生類憐れみのレイシストにはとても許容できない、しかしよく考えればそれこそ『男塾』そのまんまの内容。その様子に私を含む数名の男性客が笑い転げる傍ら、『男塾』を知らない女性客はお目当てのLLR福田(三面拳・飛燕)を左目で応援しながら、クラスの隅で尻を出してはしゃぐカス男子に向ける冷徹な光線を右目から発し続けるのだった。
それにしても1時間のライブ中、異様な存在感を放っていたのが、松尾(キャベツ確認中・ザコ)と田沢(キャベツ確認中・しまぞう)の二人である。よく似ているというレベルではない。てっきり3Dプリンターで複製したのかと思った。ライブから一週間経った今、目を閉じると二人の姿が浮かんでくる。もちろん万人橋から落下した後、思い出として空に描かれた二人だ。ライブ中死んでたけど早速生き返ってるな(前列右2名)。押忍!