かたつむり単独ライブ「復活」(渋谷区文化総合センター大和田伝承ホール)

かたつむりが活動を再開した。あのあの出鱈目で、ふざけて、かぶきまくったコンビだ。ツッコミ担当の章吾が「月島にある実家の居酒屋を手伝うため」という切実な理由から、ほんのりと姿を消して3年。活動休止イベントに行った身としては、あの出鱈目で、ふざけて、かぶきまくった末、どこかで野垂れ死しそうな芸風が見たくなって、劇場へ向かう。
結論から言うと、2時間40分の長尺ライブはしんなりしたコントがたらたら続いて結構疲弊したのだが、章吾が活動休止した本当の理由が「ギャンブルで借金500万円をこさえ、実家を手伝いながら毎月20万円の月給のうち返済に18万円を当てていた」ことを知っただけでも満足する。またオープニングは和太鼓集団がバキバキに叩く太鼓に合わせてかたつむりが納豆をかきまぜた後、すぐ休憩時間に突入。その間、二人が会場を練り歩いて出演ライブのチケットを手売りすると、たまたま章吾が私の座っているエリアへ歩いてきた。そしてあろうことか、私に異様な眼力を向けて「チケット要りませんか?」と訊ねてくるではないか。
ここはひとつ復活のご祝儀で購入してもいい場面である。しかし私は「大丈夫です」ときっぱり断った。そのライブに行けるかどうか分からなかったから断ったわけではない。「この狂った瞳の男とこれ以上関わってはいけない」と動物的本能が働いたのだ。今思い返しても『レイジング・ケイン』のジャケットそっくりの顔をしていた。
そんなこんなでつまり、かたつむりは復調した。今後、パチンコ屋、雀荘、闇カジノで章吾を見かけることがあったら、私は「おまえ、ギャンブルはやめたんじゃないか」と注意する。ことはせずに遠巻きに眺めていたい。だって『レイジング・ケイン』の顔して麻雀打ってるヤツなんて絶対関わりたくないもん。