バトルオワライヤルNEXT(∞ホール)

用意された小道具を使ってひたすらボケ倒す、発想力やら馬力やら問われるイベント。用意された小道具を使う、というのが大前提であるにもかかわらず、セブンbyセブン・玉城は、楽屋にクローゼットを搬入したのではないかと思わせる怒涛の仕込みで、大勝軒のオヤジ、マイケル・J・フォックス、萩原流行、カンフーパンダ、Mrインクレダブル、ストリートファイターのベガなど、新宿の地下劇場・シアターブラッツで揉みに揉んだキャラを次々と展開。裸で殺し合いをする場に戦車で駆けつける重装備ぶりが光っていた。
しかし何よりこの日大活躍したのは、ギンナナ・キクチである。全参加者が己のセンスを絞り出す中で、ただただ面白いコスチュームを身につけ、その雰囲気と勢いだけで強行突破しようとしては憤死。2時間半の公演中に死と再生の輪廻を百回近くは繰り返していた。そしてどれだけウケなくても一切心が折れないのである。あまりの不屈ぶりが「こいつすげえな!」と共感を呼んだのか、1時間を経過する頃には私を含めた10名前後の客から笑いが漏れていた。主催者のバッファロー吾郎・木村も、「あなた、本当に面白くありません。二度と来ないでください」とお気に入り芸人に対してしか言わない紫綬褒章を与えていたほどだ。あの鋼のようなタフネスを「ハートが強い」の一言で片付けてはいけない。たぶんキクチにはハートがないのである。