ニッポンの経堂

今発売してる『Quick Japan』で、爆笑問題、劇団ひとり、片桐仁、ジャルジャル(敬称略)にインタビューしてます。巻末のコラムでは「ダイナマイト関西」決勝大会について、地球上で20人ぐらいが認めてくれるスケールの文章を書いているので。あとローソンに置いてある『月刊ローソンチケットENTA版』で、桂三枝師匠(敬称緊急追加)に話を聞いてます。
ちなみに資料を整理していたら、数年前に取材した浅草キッド・水道橋博士と、今回取材した爆笑問題・太田の発言がそこかしこでかぶるので軽い衝撃が。
水道橋博士「テレビというメディアと折りあわないことも喋ってはいきたい。でもそこは両立できなきゃ。テレビタレントとしての能力がないと本を知らしめていけないし、本物のジャーナリストの影響力はテレビより小さい現状はあるわけじゃない? 番組で笑いを取って自己主張しつつ、高感度を保ちながらテレビを操っていくのが理想のスタンスだと思うので」
太田光「いくらメディアがいろいろあるといったって、圧倒的に人が見ているのはテレビ。学者が50万部の本を書くのと、テレビで10%の番組に出ることを比べたら、テレビの方が影響力強いんですよ。ただテレビに出てきても失敗することが多いし、言い足りないことだらけで、ほとんど核心までいけない。だけどそれを承知で恥かいて、そこに向かって何とかしようという人の方が俺は好き」
水道橋博士「(『博士の異常な健康』は)お笑いのくせに健康なんか志向しやがってという声もあるだろうけど、お笑いは振り幅が広いし、俺はそれを信じてる。あやしい健康への執着もここまでやっちゃうというのがあれば、お笑いとして成立するはずなんだよ」
太田光「たとえば物理の先生に質問して、「それ哲学だね」といわれると、「そんなのいいじゃん」と思っちゃう。その点、俺の仕事は自由でよかったと思うんですよ。お笑いというくくりがあって、「それはお笑いじゃない」と言われても、他に手を出しちゃいけない仕事じゃないからね」
芸人がテレビの影響力を肯定し、お笑いの矜持を語るのは別に珍しくもないが、改めて二人は似ている。煤けた青春期、活字文化への信仰、鬼気迫る饒舌ぶり(太田は収録現場で、博士は原稿執筆で)、職業が漫才師、相方が玉袋などなど。ビートたけしを父に持つこの異母兄弟は、二人が根を張る高円寺と阿佐ヶ谷程度の距離しか差異を見出せないのである。
でも似ているのは出生であって、現在地や方法論はまるで違う。ちなみに『Quick Japan』の今号で、爆笑問題は「ニッポンの教養」、博士は「ニッポンのウラ」についてインタビューを受けている。NHK「ニッポンの教養」とPC-TVのミランカ「ニッポンのウラ」。なんだろうこの対角線構造は。太田が拡散する時、博士は収斂し、博士が熱を帯びると太田の温度が下がる。この話、書くうちに着地点が遥か遠方にあることに気づいたので、「二人はお笑い界のつのだ☆ひろとつのだじろう」という結論でお茶を濁して終わります。T-BLOOD。