毒娘音楽隊(シアターD)

POISON GIRL BANDの初単独は、「こんな時期に単独やらせて……」「1日でライブ用のネタを作りましたから」と吉田が多忙のあまりジーンズを洗っていないせいか、踵を何度もさすりながら愚痴った通り、入場料の500円に見合った完成度。「やる気がない」「テンション低い」「声が小さい」と見られがちなコンビだが、この舞台によって普段は1000円以上の入場料に見合った気概で挑んでいることが判明する。
といっても、ぐだぐだの漫才、ずぶずぶのコント、コンマニセンチとのスカスカトークを見せられたところで、真剣と適当の境界線が全く見えないため、結局はセンスに押し切られて面白いことに。一番ヘロヘロになっておかしくない後輩芸人を招いてのゲームコーナーが一番盛り上がったのは、ある意味シュールな結果である気も。とりわけポイントゲッターになったのは平成ノブシコブシ・吉村とグランジのボケ担当で、自ら面白くないと思う先輩芸人を果敢に告白した吉村の蛮勇には心を奪われる。その芸人が誰であるかは、口が裂けても6Bの鉛筆が折れても絶対に書くまい。ヒントになるようなフレーズも墓場まで持っていくつもりだ。
それはさておきエンディングで告知されたのは、来年2月、ルミネでPOISON GIRL BAND単独が決定したという衝撃の事実だった。全観客がM-1グランプリ出場よりも不安な気持ちに駆られたことだろう。あとそれまで平成ノブシコブシ・吉村が芸人生活を真っ当できるのかを含めて、いろいろと不安は尽きない。不安は尽きないが、笑いに待ったはないのだ。待ったなしなし。