幸せであるようにイスラム教徒が心から祈ってる

音楽について瑣末な話をいくつか。
○友人は「浜崎貴司がカバーしている宇多田ヒカルの「光」は『夜もヒッパレ』にしか聞こえない」と指摘する。
思えば昨年の蝦夷ロック。Flying kidsが好きな私は浜崎貴司のステージに足を運んだ。
ベースボールキャップに髭面という予想屋のいでたちで登場した浜崎はまず「光」を弾き語り、続いては高野寛を呼び込んでRCサクセションの「君は僕を知っている」を。さらに二代目にしきのあきら襲名を狙ってるのとしか思えない、白Tシャツピチピチ・乳首おっ立之助こと宮沢和史を招いてBOOMの「釣りに行こう」を歌い上げる。
まさに”他人の褌でリードを取る”ぶりが炸裂のライブ。なるほど、次の曲ではMAXが踊り狂うか、懐メロがいつのまにか70年ロックに変わってモト冬樹前のめりか、いずれの展開しか思い浮かばない(実際は井上京子率いる女子プロレスラー軍団が過剰なまでに熱唱)。
そんな夏が過ぎて、私は久しぶりに浜崎のライブアルバム『2002』を聞いた。するとそこで披露しているスローなアレンジの「幸せであるように」が、よそ様のカバーにしか聞こえないのである。持ち家のはずなのに浜崎が発散させる臭いは”賃貸”。生前「実際に会って緊張した人物」の第3位として浜崎を挙げていたナンシー関はマンションを購入していたというのに。
これと真逆の存在が誰をカバーしようが自分の曲に染めてしまう矢野顕子だろう。人の家に上がって権利書の名義を書き換えている。終戦直後のどさくさか。

フランク・ザッパのアルバム『黙ってギターを弾いてくれ』。なんというタイトルのカッコよさ。『黙ってホルンを吹いてくれ』『黙って練馬に行ってくれ』『黙ってお米を研いでくれ』ではこうはいかない。あと『黙っておかきを割ってくれ』や『黙って相撲に負けてくれ』も。

小島麻由美の「恋の極楽特急」に”オレンジ色した極楽特急に乗り込んで彼に会いに行くよ/すごいスピードで駅をとばし/あの小さな部屋へ”という歌詞がある。私はこの「駅」を「液」と聞き間違えていて、新宿のホテトルが調布市界隈に呼ばれて京王線特急で移動する曲だと思っていました。今年に入って2万個目の嘘をついてしまいました。