柳家喬太郎独演会(横浜にぎわい座)

演目は古典「お菊の皿」と新作「母恋くらげ」。初めて見る喬太郎の古典は、鬼気迫りながらも緻密な演技と、壮大でいて莫迦々々しい物語という新作の骨子そのまま。本人は「古典も新作もどちらも中途半端で」と自嘲していたが、二つの惑星の引力が影響を与えあって、かってない形の星が生まれそうな気配すら感じる。
そしてこの日一番笑ったのは、横浜出身の喬太郎による神奈川県の鉄道に関するマクラ。東横線の至らなさ、高島町駅の存在意義、横浜駅の悲哀を語りつくし、客席にいた神奈川県民のボルテージは、京急快速特急の運転なみにヒートアップ。終演後、妙な郷愁に囚われた私は横浜駅界隈を無意味にうろついて、挙句、相鉄線に乗って実家に帰ってしまったぐらいだ。喬太郎の芸は人を動かす力がある−−神奈川限定で。お笑いアテスト評点65点。