シティボーイズミックスPRESENTS『メンタル三兄弟の恋』(アートスフィア)

昨年・一昨年は初日に足を運んで、小さな違和感が拭えなかったシティボーイズのライブ。しかし初日から楽日にかけて内容がずんずん変化すると聞き、今年は意趣を新たに楽日の公演へ。はたしてこれが久しぶりに衝撃を覚える出来だった。
特に『リフトに取り残された詩人たち』『暴漢に襲われて旅館に逃げた警官』『あらゆる状況におけるリーチ』のコントが絶品。くだらなすぎる発想のコントに、プロフェッショナルきわまりない照明や音響がからみ、舞台装置にこれでもかと金をかける無意味さ。シティボーイズの舞台が笑えるのは、もはや宮沢章夫が支えてきた80年代のように”最先端のコント”を見せてくれるからではないのだろう。今や唯一無二の”日本一濃密に無意味な空間”を曝け出すから面白いのだ。これ以上コントの内実を考えるのは、円の輪郭を物差しで測るような行為だから、今年の感想はここまで。
ちなみに劇場で手渡されたチラシには、11月同劇場で開催される倉本聰作・演出、富良野塾の公演予告が。キャッチコピーは”宇宙で一番きれいな水は、あなたの心から湧き出ている”で、サブタイトルは”クリスマスに舞い降りた二人の天使のメッセージ”。そして満を持したタイトルが”地球、光りなさい!”である。自分の瞳を疑う必要なんてないんだよ、だって”地球、光りなさい!”だから。いよいよ惑星に対して命令形で語り始めた倉本先生。これはあらゆる面においてシティボーイズと対極の舞台になるに違いない。しかしながらおそらく笑いの量は同じ。