み〜んなよしもと(シアターサンモール)

ブレイクが期待される若手芸人15組によるショーケースライブ。下は芸歴13年のたむらけんじから、上は幽玄界代表の公家芸人・竹内大納言ターボαまでと実に多彩な顔ぶれだ。
内容は意外に粒ぞろい。お目当てのアジアンは期待通りの堂に入った漫才で、パンクブーブーによる『フォーン・ブース』を下敷きにしたようなストーカーファンのコントも、笑いのポイントを見誤らない手堅い出来だった。また目が覚めるようなネタではないものの、麒麟・田村の全身からはアホの風がそよぎ、ピース・綾部は変態独特の酢酸臭を放ちまくり。これからよく分からない面白さを生み出しそうな気配が地味に伝わってきた。
個人的に心が折れるほどショックだったのは、ゲームコーナーのキーワードで「千代の富士」の単語が現れた時、横にいた少女が呟いた「誰それ。全然知らないんですけど」の一言。おまえら昭和の大横綱千代の富士貢だぞ! 娘の死を乗り越えて優勝したこともテーマソングが松山千春作曲の『燃える涙』であることも親方になったら弟子が集団脱走したことも知らないのか! ちなみに「料理は愛情」の結城貢は「すすむ」であって「みつぐ」じゃないからな! そんな怒りにうち震えて私が太刀を振り回してると、少女の熱い眼差しはもう一つのウルフ・オオカミ少年へ。こんな髷も結えないふんどしかつぎを世間はいつまで関取扱いするのか。