ホリプロお笑いフレッシュライブvol.7(笹塚ファクトリー)

強烈な天才はいないけれど際立った落ちこぼれもいない、偏差値でいうなら日東駒専レベルが頻出のライブ。それでも若手にしてはネタの色分けがされていて、芸名とネタが一致するのは事務所の技量なのだろう。気になったのは淡々とコントをこなす様がMCいわく「任務を遂行してるような」味わいのひるやすみ。それと出オチ芸人と決めつけていた双子のザ・たっちによるおすぎとピーコのモノマネ漫才は、一周して漫才を小馬鹿にするメタ漫才で、作家がついてるんじゃないの?と思わず詮索したくなるほどの面白さだった。
またこの日ライブの白眉は、超ルーキー芸人をレギュラー組と1分ネタで争わせ、勝ったらポジションを逆転させる下剋上企画。レギュラー組には本当に事前告知がなかったようで、芸人が必至になる様はドキュメントとしての面白さがあらわに。舞台隅でネタを合わせるくつ下一足二足やヒデヨシの物凄い形相、突然の降格に襲われてエンディングで目が泳いでいた末高斗夢、フジテレビ局員を辞めてこの道に進んだというわりにはコンパの人気者にしか見えなかったキックというピン芸人、そのものではなくその人生などなど。ついでにMCを担当していたビームの立ち位置の距離から伝わるリアルな仲の悪さも見物だ。
唯一解せなかったのは、審査員として×−GUNの嵯峨根が登場した瞬間、前に座っていた客の女子高生が「えーッすごいッ! ホント? ホントにー!?」と感涙にむせぶ勢いで興奮しきっていたこと。電車男の後はアジアの超特急がブームなのか。あれだけはドキュメントではなくてフィクションだと思いたい。