志の輔らくごIN PARCO vol.10 其の弐(パルコ劇場)

再び立川志の輔の落語が見たくなってPARCO劇場へ。お楽しみで演じた「忠臣ぐらっ」に圧倒される。
近代のお笑いがギャグという弾丸を大量に充填し、撃つ早さや精度を競うのだとするなら、受け手は少し目が慣れればひょいひょいとかわせるようになるもの。しかし日本人なら誰でも知っている早見優「誘惑光線クラッ!」をモチーフにしたこの演目は、人工制作した竜巻で標的を狙うようなスケールだった。落語論のような言い訳のような枕を耳にして、「どんなものだろ」と玄関の扉を少し開けた途端、客は抵抗する術もなくそのままどこか遠くへ飛ばされるだけ。こんな気持ち、M-1でブラックマヨネーズの漫才を見て以来だ。って1ヶ月も経ってないか。実際、公演の翌日、ヤングサンデーで相澤仁美のグラビアを見た時も同じ感情に襲われた。
それはさておき会場で「こんなに落語が面白いなら、別に他の演芸なんていらないかー」と軽はずみな気持ちに浸っていると、小鼻をふくらました糸井先生とすれ違う。それがいい落語に触れた昂揚だったのか、また一つモノを動かして儲けるタネを見つけた興奮からだったのか、私には知る由もない。