漫才バカ一代(文京シビックホール)

当日券に余裕があることを確認して会場へ行くも、「立ち見しかありません」と追い返されそうになる。なんとか粘って中に入ったら関係者席にはスキマ風が吹き抜け、空席も如実に点在する始末。インディーズの運営に役所の精神が宿るとはなんてハイパーなスタッフワーク。JR160円区間で訪れた私すらこの仕打ちはきついが、U字工事目当てに栃木の真岡からSL乗って上京した客がいても同じ扱いをしたのだろうか。
さて浅草お兄さん会の余韻をひきずるライブは盛況で、心を惹かれたのはリアルアフロの大塚千太郎を従えたコンビ、西麻布ヒルズだった。今の若手がテレビへの最短距離を計算してジムで筋肉を作ってるとするなら、西麻布ヒルズはそのへんにある重い物を持って体を鍛えるような方向性。というのも全編が差別ネタだから。それも黒人差別というスタイリッシュでキュートなアフリカンユーモアだから。未来永劫にテレビでネタを見る機会はあるまいと思っていたら、舞台では猫ひろしが弟子のジジ・ぶぅ(元ホームレス・50歳)を連れて前衛芸術にしか見えない漫才で歓声を浴びていた。私には西麻布ヒルズとジジ・ぶぅの間に存在する”テレビに出れる基準”がもはや分からない。小さくて可愛きゃいいのか。エマニエル坊やならいいのか。