ダイナマイト関西(なんばグランド花月)

4時間弱に及ぶ檄ロングラン興行。好勝負の中でもとりわけ好みだったのは、T.K.O・木下vsバナナマン・日村、ハリセンボン・箕輪vsジャルジャル・後藤、ダイアン・西澤vs伊集院光リスナー・せきしろ。木下と西澤はポイント奪取されて追い込まれても勝負を捨てない芸人の執念を見せ、同じ境遇に陥ったPOISON GIRL BAND・吉田は「もうやめにしない?」というサレンダー気分をまんま顔に出していた。現代っ子だ。その吉田を予選で制した箕輪は、お笑いの進化図から外れた奇才・後藤を真っ向勝負で沈め、今日もキラキラ輝いていた。落雷を受けて人体の中で明滅する骸骨のように輝いていた。
箕輪、後藤、西澤、それに日村の回答を見ていると、これまで一手一手の重みや間を重視して棋士が対局するようだった『ダイナマイト関西』の戦いが、戦略や技術を携えながらもどこか一点は肩の力を抜いて楽しむカードゲーム的対戦に変化してきたのかなと思う。さらにせきしろまで行くとパチンコの域に。膨大な量の玉がアウト穴に吸い込まれていくが、フィーバーすると玉が出てくる出てくる。今後『ダイナマイト関西』はエンターテインメント性が高まり、最後はCR機になるのかもしれない。
ちなみに終演時間は11時20分で、11時40分大阪駅発ハイウェイバスに乗る予定だった私は携帯電話の時刻表示を眺めながら「なるほどね」と立ち尽くした。たまたま高島屋前でモンスターエンジンを搭載したドラッグレース仕様のタクシーが捕まったからよかったものの……。振り返れば麒麟・川島vsケンドーコバヤシ戦におけるサドンデスの大長考が元凶といえば元凶か。それも藤田和之よろしく『パープル・ヘイズ』で入場したケンコバが、最後の最後の回答で自爆したのがサドンデスにもつれ込むきっかけに。それ以降、ケンコバはリアルに頭を抱え、私はあんなに心が折れそうになっている姿を初めて見た。その光景はヒョードルをグラつかせながら逆転負けを喫した藤田というより、場外で未来永劫に続きそうなアピールに励んでいたらリングアウトを取られたハッスル大阪大会のTAJIRIのよう。カウント19で2階バスの窓に滑り込んだ私が断言しよう。大阪には魔物が棲んでいる。のではなく、お調子者が最後に慌てる。それだけのこと。