100%ハリセンボン(シアターモリエール)

某芸人は語った。「本当はオリエンタルラジオなんて存在しないんじゃないか」と。いわく「”こんなコンビがいたらいいよな〜、売れるよな〜”という業界人の妄想が集結して具現化されたエネルギー体のような気がするんだよ」
この説に追従するなら、大衆による「こんなブスコンビがいたら!」という願望が現世に身を結んだコンビがハリセンボンである。この日の会場は関係者席も埋まってほぼ空席なし。階段を50段飛びで駆け上がるオリエンタルラジオほどではないにしても、3段飛びで売れている気配が満ちていた。
はたしてライブは多忙のあまり準備期間が短かったらしく、足腰ヨワヨワの印象。あのスーパーカーのファーストアルバムのようにキラキラした初単独に比べると、3回目の今回はスガシカオのサードアルバムに似た空気漏れ感。どうだこの誰にも伝わらない自己完結な例えは。あれ1回聞いてすぐブックオフに売ったんだ。あまりにもすぐの行動だったから買い取りカウンターでディスクが回っていたのを覚えている。それはさておきツッコんでもよし、先行させてもよしの近藤の達者さは今日も健在で、ライブはそれとなく成立してしまうのだった。また病院コントと漫才を見て、箕輪が放つギャグのいびつさはフットボールアワー・岩尾に近いことに気づく。外見が似ているアンガールズ・山根を含めたら、どれだけのブサイク人格を体内に宿してるのだ。そんなことを考えつつ、売店でカーキ色のハリセンボンTシャツを買おうとしたら、ピチTサイズしか残っていないのであきらめて帰路に着く。この余った2000円を使って、スガシカオのサードアルバムを中古で買おうか。永遠に救われない輪廻が続く。