俺はお殿様・コロッケオンステージ(新宿コマ劇場)

長年の悲願だった生コロッケを見に新宿へ。一線を退いてからみんなが好きだと言い始めた志村けんの如く、世間は10年も後にコロッケを再評価するのだろう。しかし私にとっては既にリビングレジェンドなのである。
そして何の因果か、先日『商業界』というカタい商業誌を読んでいたら、ある中小企業診断士が以下のようなコラムを執筆していた。いわく「経営で大事なのは見本のモノマネではなくハズすこと。たとえばコロッケのモノマネは本物そっくりを追求せず、そこからハズしてるから面白いのだ。茶道の「守・破・離」―ーお手本を学ぶ「守」、守を破る「破」、独自の世界を築く「離」に置き換えるなら、ロボットダンス五木ひろしは「破・離」レベルに達しているのである」と大真面目に考察(実話)。その主張に大きな誤りはない。が、読者層の多くを占める経営者はこれ読んでどう感じるのよ。絶対、惣菜の担当者を呼び出した挙句「コロッケたくさん作れ」と命令して終わりだ。
何はともあれイベントは軽演劇+休憩+モノマネで計4時間に渡る大舞台。しかし「腸を洗浄するくらいに笑わせて!」と期待していた私にやや不服が残ったのは、コマ劇場の土地柄、笑わせるターゲットを40代以下の主婦層に設定していたせいだろう。鳥羽一郎、山川豊、フランク永井のマネがどんなに面白くても、「ヤカンを触って熱がるブルース・リー」のモノマネを期待していた年頃の私には正直よく分からないのだ。この日のコロッケは、対・コマ劇場の枠内においてしか「守・破・離」を完遂していなかった。最後に特筆すべきは、トシちゃんのマネはバカの向こう側、つまり「離」の先にある「離脱」クラスに突入して、もはや無脳児みたいになっていたことです。