『黄金餅』の残酷描写を検証する雑誌『志ん朝45』

■猿でもマスでもかける基礎ライター講座

今書店に置かれている『BRUTUS』で落語特集を組んでいます。オシャレな誌面。高尚なテーマ。文字数が少なくても原稿料は潤沢なマガジンハウス。ライターを名乗る者なら、お笑いブームの潮流にもあやかってぜひ関わってみたい仕事のひとつです。
「でも落語のことがよく分からない……」と肩を落とすあなた。心配はいりません。記事を書くにはそれなりの技術が求められますが、落語家へのインタビューは落語に対する知識・素養がなくても可能なのです。要は”通の空気を醸しながら取材対象に擦り寄る”というインタビューの基本を実践すればよいだけの話。以下に挙げる相槌を覚えて繰り返せば2ページ埋まることは確実です。川戸貞吉にはなれなくても堀井憲一郎にはすぐなれます。
相槌権はフリーですので、ぜひ『日経エンタテインメント』『お笑いポポロ』『Free&Eazy』編集関係者もお使いください。
「こないだイイノホールで師匠の『鰍沢』を拝見しまして。ああ、こういう解釈もあるのか! と目からウロコが落ちたんですよ」
「そこらへんは上方との違いですね」
「うん。だから一度寄席に足を運んでほしいって思っちゃう」
「刹那的でしょ。今って作りこんだ笑いは支持されないですから」
「そこは意見が違いまして、私はね、『笑点』は必要だと」
「それ、私も見てました。東横ホールで」
「あの『金玉医者』はよかった……」
「ああいう軽い口跡の噺家はいなくなりましたね。評価が低いのが残念ですけど」
「ああ、席亭も同じことおっしゃってたなあ」
「円朝ですか!」
「メイド寄席(笑)」
「先代の」
「四代目の方だ」
「なんか上手いこと言ってくださいよ」
「師匠、チュートリアルとか知らないでしょ」
「チュートリアルは初代しかいませんよ」
「落語について能書き垂れてるOLを蔵に閉じ込めて焼き尽くす噺が聞きたいです」
「談志って本当に面白いの?」
「そうなんです。だから落語は終わらないと思うんです」