志の輔らくご ひとり大劇場(国立劇場)

演目は「バールのようなもの」「八五郎出世」と来て、凡作のためこれまで演者が誰もいなかったという円朝の「政談月の鏡」に。それもサスペンス風に仕立て、志の輔が大好きなドラマ「24」の仕掛けまで盛り込んでいた。もちろん落語の世界にテロはなく、日本の9・11は物騒ながらも平和だ。正直な話、話が複雑で中盤から筋がほとんど見えなくなったけど、1000人以上の客を前にこんな前衛プロレス「マッスル」の如きアホな構成を施す精神がすごい。別に会場は国立劇場じゃなくて、新宿 FACEや北沢タウンホールでよかったんじゃないか。9・11という特別な日がプロレスの日程をあおる文句に見えてくる。