グラインドハウス 村越周司×ハリウッドザコシショウ(北沢タウンホール)

村越周司ハリウッドザコシショウが、お互いの単独を合体させたグラインドハウスライブを開催するという噂を聞いたのは半年以上も前だったと思う。その日を心待ちにして、私は早々と前売り券(最前列)を購入。さらに諸事情でライブへの道が閉ざされないよう、押し寄せる仕事は全てさばき、冷水を浴びて身を清め、過去の犯歴も清算しておいた。そんなあとは会場へ行くだけの状態に舞い込んできたのが、「ジャルジャルのDVD収録ライブをするから来ませんか?」という関係者からの誘いである。聞けば村越×ザコシショウのWライブと同日、同時間帯ではないか! ジャルジャルのライブはいずれDVDでも見られる。それに対して村越×ザコシショウの顔合わせは次いつになるか分からない。答えはひとつだ。私は関係者に「ジャルジャルのライブ、ぜひ行きます!」と即答した。
大井町で行われるジャルジャルのライブは6時半スタートで1時間ほどの内容だというから、終了は7時半ぐらいだろう。そのまま下北沢に向かえば8時到着。7時開演であるグラインドハウスライブの後半、少なくともどちらかの単独は見れるだろう。たとえどんなに収録が伸びたとしても、強引に7時半で中座すればいいのだ。当たり前ではないか。私はマイナーなお笑いを愛しているのである。はたしてジャルジャルのライブは8時過ぎに終わった。それを私は最後まで見ていた。だってスゲー面白いんだもん。あれは途中で席立てないよね〜。
そのまま負け戦を覚悟で私は下北沢に向かった。頭の中では爆風スランプ『大きなタマネギの下で』が流れている。9時前に会場に着くと、受付にいた村越夫人らしき女性が「もう終わるんですけど、いいんですか?」とすまなそうに声をかけられた。そして扉を開けて目にしたもの。それは何ひとつ前後の脈絡が分からないけれど、全身写経に白褌姿のハリウッドザコシショウ(たぶん耳なし芳一)が刀で耳を斬られて舞台が暗転する瞬間だった。それが網膜に飛び込んできた時、私は来てよかったな、と思った。私は地球上でただ一人、ジャルジャルとザコシショウのグラインドハウスを経験した。