増谷キートン・椿鬼奴 二人のビッグショー vol.3(ネイキッドロフト)

新宿の片隅にある酒場で古いつきあいの男と女がよもやま話に花を咲かせ、ビールを傾けながら思い出のあの歌を口ずさんでみる・・・そんなパリジェンヌ泣かせの小粋なライブに行ってみると、開演10分にして招かれたゲストのBコース・ハブはいつもの肌色ブリーフ一枚の正装にくわえ、頭にはストッキングを2枚重厚に重ねたコピーロボのコスプレで登場。当然会場にシャンソンが流れるスキは一切なく、各自が好き勝手に歌うコーナーでは、増谷キートンによる「悪魔の皇太子」(聖飢魔Ⅱのファースト教典『悪魔が来たりてヘヴィメタる』から)のおどろおどろしい歌声が、霧の立ちこむ森の奥深く誰も知らぬ秘密の館に響いた。
さてこの日のシークレットゲストはレイザーラモンRGで、登場しながら「君は1000%」を流麗に歌い上げる和服姿が視界に入るなり、「お〜! このイベントはBODY meets RG vs ハブじゃないか!」と興奮したのは私だけだったようで、ライブの前半から「今日はようやくスケジュール調整がついた大物が現れる」と喧伝されていたものだから、会場には控えめな拍手が鳴るばかり。その後もRGはドリンクオーダーギャグ「お〜い、お茶!」で客のハートを順調につかみそこねるが、「CHA CHA CHA」や「JAM」にのせた歌舞伎あるある、KONTAの真似が妙に上手い「女ぎつね on the run」の熱唱、ほとんど1弦しか弾かない「ENDLESS RAIN」のベース演奏でポジションを取り返していった。本当にこの人からは目が離せない。
なお個人的に気になったのはハブの性嗜好で、トーク中に「ハブちゃんが死ぬまでやりたいことは?」の質問を向けられると、「性的なことで、舞台では言えないレベルですね」と即答。しかしその断片を探り探り紐解いていくと、「ロシアの大草原に金髪女性がいるんですよ。それを僕が追いかけて・・・この途中が本当に言えなくて、最終的には食べちゃうというか」と、比喩ではない方の「食べる」発言が。その後の休憩を挟んで、舞台裏でハブの話を聞いた増谷キートンは「ハブちゃんの話、本当に言えないね・・・」と顔色を曇らせていた。そのディティール、図らずも俺がライブ前に貪り読んでいたロシア発禁のサスペンス小説『チャイルド44』にそっくりだよ! ハブは「イゴール・ハブチャンチン」のロシアネームもあることだし、今すぐシベリアに抑留すべきだと思う。