ホリプロお笑い ジェンヌライブ30回記念(シアターモリエール)

今まで「これに参加したらお笑いへの愛着と性欲がまぜこぜになって、一線を越えてしまうのではないか?」の恐れから避けてきた女性芸人限定ライブ。しかし男女雇用機会均等法が施行されて10年、今やお笑いシーンにおける女性芸人の台頭は周知の事実であり、看過できない存在へと成長した。その現状を目撃しないのは怠慢だし、芸のクオリティと方向性を確認する必要があるはずだ。と早い話が、チェリー☆パイを生で見たくてホリプロ女性芸人ライブへ向かった。
この日はライブ30回目を記念して、ホリプロとワタナベエンターテインメントの女性芸人対抗戦に。1分の話の中に可能なかぎり「クソ」の単語を盛り込む、ある意味和製レニー・ブルースの岩間よいこや、「新婚さんいらっしゃい」のイタい関西嫁を正確に模写して『やりすぎコージー』の「俺のツボ」なら即戦力でハマりそうなシマウタ♪など、センスのよさが垣間見れるワタナベに対し、ホリプロは川村エミコと白鳥久美子がお互いの顔をけなしあうだけでネタが成立するブサイク界の丸藤vsKENTA「たんぽぽ」やら、どんな過程があってそこにたどりついたかは分からないけれど舞台をハイレグでかけずり回っている内田桂子やら、要所要所でケツを振る子も多く、キワモノが次々と登場。女性芸人に要求される「自分を大事にしていない」感では、圧倒的にホリプロに軍配が上がっていた。
このホリプロ女性芸人に漂う「過激なことをした者勝ち」の空気はどこから生まれたのだろう? 推測すると、やはりメグちゃんの存在が大きい気がしてならない。芸歴の長い先輩が高級官僚である親族の怒りを買って強制引退させられた挙句、なんとか舞台に戻ってきたら昔と変わらず「こんにち輪ゴム〜!」と叫んでいる。私が後輩だったら「あ、何やってもいいんだ!」と心の底から安心すると思う。だからチェリー☆パイも、ナースがおっぱいを見せたら危篤の患者の心臓が動くという、岩谷テンホー先生でもボツにしかねないコントが堂々とできるのだ。ホリプロの女性芸人は和田アキコが法律として、メグちゃんが常識として機能している。
ところで生で見たチェリー☆パイは全くもってたわわなお乳ではなく、それにもかかわらずあの芸風を貫いてることで私の中の評価がまた上がりました。