漫才大行進『ナイツ』に続くのは「あいつ」かな? 「こいつ」かな?(浅草東洋館)

東京東部に引っ越して3年。ようやく浅草東洋館で月に9日開催されている社団法人・漫才協会の定例興行へ。最近ナイツとWコロントークライブに2度足を運んだことで、「会場は読売新聞の販売所を通してバラまかれた招待券持参のジイさんバアさんでむせ返り、最前列には舞台の芸人に知ってるネタをやれと促すビール片手のオヤジがでんと構えている」「ネタ中そこかしこで携帯が鳴りまくる」の客情報はもちろん「青木チャンス師匠が改名してチャンス青木師匠に」「ビッグボーイズ師匠の独創的ラップ「たまらんぜ」は自身のHPで試聴可能だが、データが重すぎて取得に30分かかる」などの、もはやベタと言っても過言ではない演者情報も補充。満を持して聖地に挑んだ。
行ってみると本当に予習通りで胸をなでおろすが、そこはライブ。伝聞では知りえぬ情報が舞台には山盛りだった。軽く一例を挙げると、
中津川弦くんの漫談が結構ウケている」「ナンセンス・原田師匠は常にマイクから2m離れて漫才している」「柳家松太郎師匠は態度のデカさと紙切りの完成度が全然比例していない」「新山ひでや・やすこのやすこ師匠が歌う美空ひばりは鳥肌級の上手さ」「アサクサノラッパー・ビッグボーイズ師匠は自身の曲「たまらんぜ」に対して相当自虐的」「チャンス青木師匠が着ているスーツの色は紫」「ビッグボーイズ・なべ師匠は両胸と両二の腕の4箇所にネルフのようなマーク(でも決してネルフではない)が入っている謎のスーツを着ている」「ビッグボーイズ・なべ師匠は黒スーツの中から、まピンクのタートルネックのようなシャツ(でも決してタートルネックではない)をほどよく覗かせているので、遠くから眺めたら女性器に見える」「ビッグボーイズ・なべ師匠の奥さんは南千住病院勤務」
気がついたらビッグボーイズ師匠の情報ばかりが増えていた。最大の見所はトリに登場した漫才協会の総統・内海桂子で、司会にあがっていた超若手・カントリーズが舞台に下がろうとするところ、両手を広げて通せんぼ。そのまま「本当の漫才とは」の講釈が始まり、小唄を歌えば練習なしで客に合の手を強要する自由さを見せつけた。あの機械本体は壊れているけれどチューニングは狂ってない様子に、なぜかロックンロールを感じる。
そんな充実の4時間半にお腹はいっぱい。これで2500円は安い! なお若手強化月間のためについた興行名「『ナイツ』に続くのは「あいつ」かな? 「こいつ」かな?」については、「全部見たけど、どいつだ」と言っておきたい。