白鳥ジャパン2009大独演会(東京芸術劇場中ホール)

あの立川志の輔をゲストに迎え、白鳥が最後に披露した演目は「鬼ころ沢」。一言でまとめるなら「遭難した雪山で、女に火縄銃で狙われる」という大して笑いどころのない怖い話が1時間も続く「鰍沢」という落語を、登場人物をたこ焼き屋に差し替え、いつものようにギャグをふんだんに入れた改作だ。
また白鳥の落語「トキそば」も志の輔の落語「抜け雀」も当然のように面白かったが、二人の対談で白鳥が語った「志の輔兄さんとの初対面」話が群を抜いてて最高だった。いわく若手の頃、落語番組の収録に呼ばれた白鳥、スベった談志の後に高座に上がり、「動物くんこんにちは」というルール無視の新作を披露したところバカウケ。気をよくして楽屋に戻ると、なぜか志の輔に「師匠にあやまれ」と促され、談志に土下座して詫びたらしい。あれ? この話を聞いた時、椅子の背もたれに背中バンバン叩きつけて笑ったのに、改めて文章にすると理不尽すぎて身が凍るほど怖いぞ! そんな怖い話を笑いに変える白鳥の手腕は「鰍沢」同様。鬼ころ志。