ルミネtheキュートン(ルミネtheよしもと)

6年前の旧シアターD。「クソ芸人たちがクソライブをやっている」という噂を聞いて、私は初めてキュートンを見た。はたして本当にクソ芸人がクソライブをやっていた。椿鬼奴という女性芸人が気になったので、帰ってインターネット検索すると全世界で3件の情報しかヒットしなかった。
それから6年。世間の風向きがたなびくや、あの売れない芸人の阿片窟・キュートンが信じられないことにルミネ開催である。会場も掛け値なしのフルハウス。しかしやってることは客席を増谷キートンが練り歩く三文芝居、ゲロ芸大放出、無駄にセンスのいい選曲など、ほとんど何も変わってないのであった。変わったのは丸眼鏡のキートンが出てくるノスタルジックなエロ芝居がなくなったこと、アホマイルド・高橋の榎本俊二的シュールな世界観が先鋭化したことぐらいである。
それにしてもメンバーが何をやっても、それこそ吉本の幽閉芸人・しんじが出てきても観客がワーキャーで迎える中、男根にこだわったピン芸と観客へのセクハラに全身全霊を傾けるBコース・ハブ、冬瓜をアナルに突き刺す芸の隙間からリアル・ドMの性嗜好がダダ漏れしているチャドマレーン・加藤、全体のフォルムは恵比寿様なのにどこか尊師の影がちらつく水上拓郎の3人だけは、いまだに客を「えっ・・・?」と不穏な気持ちに陥れるのだった。あれこそ私の中でキュートンの髄である。もう水上拓郎はしんじ二代目を襲名していいんじゃないか。
個人的に嬉しかったのは、東京NSC4期生のエース格から今やバス運転手に路線変更し、芸の道を退いたピン芸人・(英)田中のネタが見れたこと。「スフィンクス!」「♪みなごろし〜、みなごろし〜」「(Tシャツを頭にかぶってジタバタ)」、もう全部のネタが脳裏に焼きついている。2月には恐ろしいことに吉本の聖地・NGKに進出するらしいので、ぜひ有本のおっさんとおかっぺを招聘してください。