ハブ-1グランプリ(∞ホール)

ハブのオリジナルギャグ32個をトーナメントで競わせる、勝者ハブ・敗者ハブという森羅万象がハブのハブユニバースイベント「ハブ−1グランプリ」。昨年は新宿の場末の劇場で観客数十人+ほぼ同数の芸人が見守る中で行われていたのが、今年は一気に∞ホールへ昇格し、ほぼ満席に。M-1がなくなった現在、お笑いファンがのきなみ「ハブ−1」になだれ込んで今や3回戦チケットも公式ファンクラブに入会しないと手に入らない状況である、ということは当然なく、審査員に人気のライセンスをぶちこむという広告塔商法で客をこそぎ集めたのだった。
しかし客が増えようと、審査員席にライセンスが座ろうと、舞台で行われることは去年と同じ。タイツ部門では「青空に浮かぶ、死んだあいつにそっくりな入道雲」「コーンのついた大便が肛門から出るところ」「土ふまず」などの快作が目白押しで、今挙げた3つは全部一回戦で消えていった。もちろん審査席に鎮座するガリットチュウ・熊谷とBコース・ナベによる産毛一本も生えない不毛なやり取りや、ウケたギャグが上位に駒を進めるごとに見慣れた客の反応が悪くなる自然の摂理も健在。結果、「肛門が浅草」「川に沈みながら自分の運命を虎舞竜のロードにのせて歌う」などの強豪ギャグを押さえて「寿司爆弾」が優勝に輝いた。
それにしても今回驚いたのは、座頭市フェイスの小僧が「♪めりこませま〜す。めりこませます!」と口ずさみながら舞台をうろつく、ディフェンディングチャンピオンギャグ「何この職業」を筆頭に、去年活躍したギャグがいっさい不参加だったこと。そして去年「何この職業」を最低5回は見たはずの私が、そのギャグをすっかり記憶から抹消していたことである。