東京ジンギスカンライブ(シアターD)

3年ほど前、北海道旅行中に札幌吉本の公演を覗いた際、気になったタイブレイク・飯田とブーメラン学園・酒井の二人が、コンビを組んで上京したという。どんな顔をして東京の水を啜っているのか、一目見たくて札幌吉本出身芸人が集まるライブへ向かう。
しかしそんな安いセンチメンタルは一瞬でかき消された。なぜならMCのすずらん・山本が「1公演1万ボケ」のノルマを背負っているかのように、本日も反射神経だけで闇雲にボケ続けていたからだ。途中、ボケが煙幕のように立ち込めて、舞台で何が起きているのか見失いそうになる。今年のキングオブコントを見て、モンスターエンジンの「ミスターメタリック」と2700の「キリンスマッシュ」は、ループの中に快楽と真実があるヒップホップだと思ったが、すずらん・山本は文脈も何もなくギャグが延々と続くブレイクビーツ。そのうち山本のギャグをトラックにして、若手芸人が普通にトークやネタを始めるかもしれない。
私が見たかったコンビ・兎は若手っぽい漫才をしていた。ヒップホップの前に叙情もへったくれもない。