コラアゲンはいごうまん生誕42周年記念 10時間耐久独演会(駅前劇場)

コラアゲンはいごうまん独演会へ。42歳の厄年誕生日を記念した10時間耐久ライブの開始はなんと平日の11時。とりあえずオープニングに立ち会い、社会不適合者が吹き溜まる客席をお互いに確認しあった後は中抜けして過ごそうと考えていたら、10時間ずっと面白くて席を立てなくなる。最後に「今一番したい話です」と繰り出した「広島市立工業高校野球部・口でブラバン演奏」の一席は、私は諸事情あってこの話の詳細を知っているのだが、行き届いた編集の末、まろやかなカノンのように仕上がっていた。
さて公演全体は上京以降ドキュメント漫談に行き着くまでのフリップ芸再演から、才能を引きずり出した演出・喰始への愛憎を語るなどのクロニクルに触れつつ、地方支援者から届いた特産品の即売会も頻繁に実施して日銭をゲット。そして何よりさすがと思わせたのは午後2時台、「始まって3時間・・・。そろそろ飽きたんじゃないですか? こういう時はパンチが効いた下ネタか違法行為しかありません!」と語りだしたゲイバー勤務体験談である。こんなに「フェラチオ」という言葉が何度も舞台に轟き、シラフの客席が爆笑した空間を私は知らない。だからといって違法行為の話がなかったわけではなく、暴力団排斥が常識となったこんな時代に捧げる、ヤクザ事務所入門体験談も濃厚すぎてうっとりする。本当に面白いことはコンプライアンスの向こう側にある。
と思っていたら、公演の終盤、再犯受刑者がむせ返る新潟刑務所慰問話で、何をやっても受刑者に響かず、「壁を壊すため、ここは自分の犯罪歴を話すしかない!」と意を決して語った「19歳の時、本気で×××を計画した」には、どんな下ネタも受け入れてきた全女性客がドン引き。シロなのである。でもドン引き。受刑者はウケたというし、私も爆笑した。だからなのかドン引き。コンプライアンスの内側にもやってはいけないことがある。