渋谷新人計画(シアターD)

ケンドーコバヤシのMC見たさに忘年会で浮かれる渋谷へ。イブニング親父。風に言うなら、夜の街へレッツゴー。
登場するのは吉本興業若手なのに、様相が奇天烈山の8合目を越えた芸人ばかりのため、事務所対抗ライブを見ている気分に。ボケの少年がロボトミー手術明けみたいな役満はどう見ても大川興業、メンバーの一人にイラン人が潜伏しているデスペラードはどう見てもオフィス北野の芸風だ。あとキャベツ確認中指圧野郎リットン調査団ファミリーの遺伝子を受けすぎ。
さて上のビジネスクラスに昇格したのは、デスペラードとライスの二組だった。女性アイドルを二人で演じるデスペラードは純度の高い怪しさで大層面白かったのだが、驚いたのはこれが初舞台というライスだ。父親が不良に料理を教えるコントは新人らしからぬウェルメイドぶりで、笑いを取る手段も多彩。プロレスのデビュー戦においていきなりオリジナルホールドで勝ったみたいなもの。このまま伸びやかな発想が続けば、ケンドー・カシン製作の紙ベルトぐらい巻けるかもしれない。
それに対してウェルメイド感が皆無だったのは、思いついた発想を根こそぎ舞台にかけた指圧野郎。客のツボを探ることに失敗し、指圧店が午後休業に陥るような有様に。それでも面白いことがフルタイム言えるフェロモンを発していて気になる。
しかしお笑いフェロモンでいえば、ケンドーコバヤシの発するそれは五月みどり級。初対面の芸人が目に入った刹那、いきなり投げかける例えはどれも絶品で、私は体をゆすって笑った。以下、ダイジェストでどうぞ。
「アフリカの死体みたいな顔してるね。白人だけど骨格は黒人みたいな」「自分、花くまゆうさくのマンガ出てなかった?」「胡散臭いわー。ヨーロッパの詐欺師みたいや」「よー蕎麦屋に置いてある、得体の知れない神様みたいな顔しとるな!」「君は少年院で骨抜きにされたの?」「そういうわけで印刷所の生活が嫌で飛び出してきた二人なんですけど」