座薬がないので尻に弾丸を挿入したら人類初飛行が実現

自動小銃AK47をめぐるアフリカの事件を追った、松本仁一カラシニコフ』を読む。傑作。同書はいわゆるルポルタージュとして扱われるべき本なのだろう。だが私の中で松本仁一町山智浩と並んで、ほとんど完全体に近い形をしたコラムニストである。
ビートが走った文章の中に、質量とも圧倒的な情報が希望も絶望も一緒くたに提示されていく。松本はアフリカの表層を描き、町山はアメリカの暗部を暴く。それは同じコインの表裏だ。
笑いどころのない同書で唯一笑えるのは、最後に”アフリカの希望”として登場するソマリランドのダヒル大統領の顔写真。国内で銃の不法所持を抑えこんだ功績と全く関係なく、いんちきソウルバンドで30年間ボーヤをこなした顔をしているから。