笑い飯のおもしろ近鉄ライブ〜東京公演〜(ルミネtheよしもと)

「ナマハゲ」「ガムの妖精」など、新ネタの漫才を中心に構成。期待以上でも期待以下でもない出来は、数多く押しかけた男性客から野太い笑いのビッグバンを起こすことはなかった。
振り返ればM-1前夜、ガブンチョライブで見た笑い飯は、コンビが協力して客を笑わせる姿勢すら未完成だった。世間の評価も何も掌中に収めていない二人はまずボケ倒すことで相方に勝り、一つ目の存在証明を手に入れようとしていたのである。そこにはギラつく獣の臭いが立ち込め、そのホルモン臭たるや、毛も裏側の突起物もついた精肉工場あがりのシロモノだった。
しかし今や、Wボケとしてスタイルは残っているものの、その中身は“対・相方”から“対・客”にシフト。芸は既に一定層が観賞に耐える域に着地し、女性も安心して食べられる上品なモツ鍋の味がする。あの生臭い血の風味を、せめて単独でもう一度味わいたいと考えるのは、酷な要求なのか。
こんな戯言を思索した理由は、昨日たまたまモツ鍋を食べたから。今後も芸人を鍋に例えて「フットボールアワー、特に後藤は鶏の水炊き論」「スキヤキは湯豆腐論」を展開するかもしれない。