中洲の屋台に『どですかでん』のバラック小屋を出店

・急な取材で博多へ。夜、灯りが乏しい路地裏でもつ鍋を食べていると、隣のカウンターでは親子ほど年の離れた男二人が鍋をつついていた。しかしこの二人、楽しい鍋だというのに終始無言なのである。入店して聞き耳を立てること、20分。ついに若者が口火を切った。
若者「……キャンプには行かれますか?」
年配(言葉をしぼりだすように)「……いや……」
再び将棋名人戦を思わせる長考&沈黙へ。そして10分後に二人は退店。
私が傾けていたグラスの中の芋焼酎は、その衝撃のせいでアルコール分が全部飛んだ。

・別の店でイクラの寿司を食べる。すると一粒一粒の歯ごたえにくわえて、甘酸っぱい味覚が口の中に広がるではないか。
天然のイクラにこんな酸味があったとは! 塩分で満ちた海からこのような潤沢で複雑な味が生まれる奇跡よ……。初めて体験した味覚に驚き興奮でわなないていると、女中から「お客さん、醤油じゃなくてポン酢つけてますよ」とたしなめられる。

・朝のローカル情報番組で、天気を紹介する男性アナのコメント。
「本日の北九州、降水確率は80%。洗濯物は室内で乾してくださいね。筑豊の降水確率も同じく80%。はい、洗濯物は室内で乾しましょう。そして博多は……90%です! 今日は傘が手放せない一日になりそうです。それと洗濯物は室」
このタイミングでテレビにギロチンドロップをぶち込んだが、博多には雨の日は洗い物をしないという選択肢はないのか? もし最後に潰した「室」の続きが「室町時代は”かわきみやび”と呼んだそうです」だった場合だけ謝りたい。