椿鬼奴「鬼奴に乾杯!」&増谷キートン「あやまち−春〜ひとりよがり〜」(プーク人形劇場)

”合同単独ライブ”と銘打たれた、半ライス大盛りを頼むような中途半端にお得感溢れるイベント。
収容人数が100人弱なのにせり上がりのある舞台に感激したのか、椿は1時間に満たないステージの中で舞台下から3回も忽然と登場した。がっつり披露した浜崎あゆみコンサートのコピー、率いるバンド・金星ダイヤモンド、ブロードウェイ風のレビューは、どういうわけか若手芸人で固めたらしき応援ダンサー&バンドがしっかり動けているのがなんとも不思議。またその練習に情熱をつぎ込んだあまり、肝心のネタは1本という有様に「単独にかこつけてやりたい事やってるだけじゃねえか」と全客が内心で呟く、傾き者に恥じない公演だった。
そしてそれ以上にやりたい事をやり倒していたのが増谷キートンである。ネタ、幕間映像がどれも抑制の効いていない下ネタで、これだけ畳み込まれると普通は感覚が麻痺して気にならなくなるものだが、今回はまるで辛い鍋で汁がどんどん辛く煮詰まっていくような展開。終盤に披露したフォークソング『ビラビラ』は、尻にタバスコを突っ込むがごときチリホットな下品さに、ファンが集まったはずの場内は静まり返ったのであった。
なお会場では増谷&椿の歌ものCDが55枚限定発売していたので購入し、改めて『ビラビラ』を聞けば「女性器のビラビラを丁寧にのばすとかんぴょう一本分/女性器のビラビラを丁寧に開くとそこはふるさと」。歌詞云々より、意外に凝ったコード進行をしていることが私には許せません。