三重のカー。ユーの紀伊

日比谷野音ゆらゆら帝国のフリーライブを見る。日比谷でゆらゆら帝国。東京という子宮の中心にどす黒い精子が受精された気分だ。相変わらず新曲はほどよい湯加減に狂っていて、今日も坂本慎太郎は暴れて逃げ出そうとする巨大鮮魚のようなギターを力で押さえ込むごとくかき鳴らしていた。
ところで2002年8月30日、この野音で私は東京ダイナマイト単独ライブを見ていたのである。隣接する公園の噴水周りと人影が変わらなかった、長閑きわまりないあのライブ。その東京ダイナマイトが明日はシアターアプルで単独を行い、チケットは正真正銘のソールドアウトらしい。橋の下をたくさんの水が流れ、時は移ろう。頭の片隅でそんなお笑いの感慨にふけりつつステージを眺めていたら、ギターの坂本がいつものことながらカリカ・家城に、さらにはベースの亀川が第三のアンガールズに見えてきた。