カリカコント3(ルミネtheよしもと)

舞台を見ている最中から「ああ今えらいもの見せられてるなー俺は」という思いがよぎっていった怒涛のライブ。
動きとツッコミの少なさや、声の小ささの言い訳として機能しがちなシュールのレッテルをベリベリと剥がすかのように、2時間もの間、カリカは動きっぱなし&叫びっぱなし。しかし設定も本筋もオチも定番の展開を裏切っていく姿勢はシュールのそれで、特に最後の漫才『帰ってこい!』はカリカの全てをさらけ出した怪演に。それも大衆受けしそうな狂気キワキワの世界ではなく、直球で王道で常夏の狂気が剥き出し。タイヤを出したままのコンコルドが着陸せず延々と滑走路すれすれを疾走してるような、圧倒的熱量と無意味さがそこにはあった。平伏。脱帽。失禁。おむつチェンジ。某雑誌の取材で「僕らのジャンルはシュールじゃなくてシュールポップですから」と家城が語っていたシュールポップ誕生の瞬間を肉眼で目撃してしまった感じだ。今日のカリカはひとつの色彩に名前を与えた。
ちなみにその際、原稿に使わなかった言葉を引用すると、「改めて声を大にして言いたいのは、僕らは爆発するシュールということ。伝わらないことを全力で叫ぶのがシュールポップなんですよ! これをやってるのはカリカと…………あと…ガリットチュウだけですね」
創世した新世界で生み出した仮想民がいきなりガリットチュウ。まるで巨人と楽天だけが参加を表明した新リーグ構想のようだ。あと平成ノブシコブシ・吉村も伝わらないことを堂々と大声で叫んでいるから、同ジャンルの鬼っ子としてマークした方がよいと思う。新リーグの仲間に加わるにはまだバットの持ち方すら危ういとはいえ。