「ポリフェノールで肩が治る」と力説する江川卓

友人から西村欣也・著『朝日新聞が伝えたプロ野球』をもらう。そのセンス皆無の題名とは裏腹に、中身は職人が和菓子を作る如き丁寧さ&機械仕事で野球の一面を刈り取った好著。
そこで作者は江川が小早川に本塁打を打たれて結果的に引退を決意した打席、伊藤智仁が一試合の奪三振記録を目前にしながら篠塚にサヨナラホームランを打たれた打席をこう評している。「伊藤と江川のあの一球は血のにおいがした。野球がゲームではなくなっていた」と。
それとそっくり同じ感想を、昨晩の『真夜中の大かま騒ぎ』で抱いた。あの番組を見ていてひどく疲れるのは、芸人の生存競争が剥き出しに晒されて血のにおいがするから。笑いがゲームでなくなっているのである。笑いを支える”緊張と緩和”の緩和部分がゼロ。唐突にフジテレビ社員がからむが、あれは緩和ではなくて、ただの”ほころび”だ。ナインティナインの岡村は極度のストレスで番組中に背が縮んでいく印象すら受ける。
はたして最後には前に出れなかった劇団ひとりが「僕、今決めました。お笑い辞めます!」と叫んでいた。それに対して明石家さんまはこの日も一人で大暴れして、全く幕を引く気配を見せない。その様は江川というより、もはや金田正一の領域。それも結構ボークや暴投、投げそこないも多く、今田耕司やロンブー・淳の先発・中継ぎ陣が丁寧にゲームメイクした後、勝利をかっさらっていく例のやり方であった。でもさんまは400勝じゃ満足しないんだろうな。目標は騎手の岡部幸雄に並ぶ2943勝。