柳家喬太郎独演会(横浜にぎわい座)

仕事に煮詰まり、気がつくと遠出して寄席に。3日連続で同じ落語家を追っている自分が相当気持ち悪いです。
三遊亭園朝の命日に因んで、喬太郎の演目は三遊亭園丈作の「ぺたりこん」と、園朝作の「牡丹灯篭」。父親の敵討ちのため慕う主人に剣術の教えを乞うと、その主人が親を殺めた本人だった−−という後者の話は、予告通り染め上げたように陰気な内容で救いがゼロ&笑いが少々。これ落語というより、ほとんど井上雄彦の『バガボンド』外伝だ。『バガボンド』との違いは、登場人物が死んだ瞬間、岩に波が寄せて上空で鳥がカアと鳴いて3話分ぐらい余裕で生涯の回想が始まって「剣で会話ができた−−」だの「俺を強いと言ってくれるか−−」だの「バスケがしたいです−−」の独白が入らないだけ。もしかして「ぺたりこん」の冒頭で、主人公が両足を挫くのは『リアル』へのオマージュ? と喬太郎の天パに宮城リョータの頭髪をダブらせながら思うのだった。