ドリフ在籍時の荒井注はターンテーブルを担当

実家に帰るとケーブルテレビが開通していたのだった。あるチャンネルでは十数年前の『ドリフの大爆笑』がそのまま再放送されている。
ジョン&ポール以来の奇跡の邂逅である志村と加藤のコント、日本にサイケデリックの概念をもたらしたいかりやと仲本によるバカ兄弟、歌唱力・歌詞・振り付け・演奏・スタジオセット、5大陸にまたがってぶっちぎりのひどさを提供する渡辺美奈代の曲。全てを堪能していると、横で使用済み封筒を裏返しに貼って再生させる内職に励んでいた私の父親・鈴木工シニアが呟いた。
「この姉ちゃんは、あれか、松本伊代か。ずいぶん若いな! ところでもう一人出ているこのジイサンは誰だ?」
シニアが指差しているのは、誰がどう見ても志村けん。伊代は分かっても志村が判別できないってどんなリタラシーだ。志村の敵は後ろにいるとは限らない。