第123回すっとこどっこい(ミニホール新宿Fu-)

10年前に会場が銀座小劇場だった頃、足繁く通った大川興業主催のライブ・すっとこどっこいに久しぶりに向かう。
かつての大川興業北朝鮮だった。数多くの芸能プロダクション大国がひしめく中、一体どんな人材育成をしているのか、どういった階級社会になっているのかが判然としない閉鎖小国であるのにかかわらず、江頭2:50や松本ハウスなどのミサイルを先進国にバンバンと打ち込む脅威の存在だったのだ。しかし近年の大川興業といえば、奇才・ハウス加賀谷は自ら幽閉し、ピグモン勝田は地方労働中に不運な事故に。さらに藤井モウがご乱心でマシンガン連射心と、それはネパールですか、とにかく“衰退”の路をたどる一方。はたして赴いた会場も客が30人いるのかどうかで、もっと大きな劇場が客いきれで蒸せていた状況を知る身としては、寂しい思いに駆られるばかりだ。
しかし蓋を開けてみれば、昔と遜色ないくらい大川興業所属のクレイジー芸人が登場。怪しいサラリーマンキャラが完成しつくした名刀長塚、精神病棟の懲罰室で1人繰り広げられるようなコントのチャンス大城、猛獣&猛獣使いのコンビネーションに小気味いいギャグを織り交ぜる大川興業遺伝子を直流で継いだ俺のバカ。結局、抱いた感想は「やっぱり大川興業、核を所有してるじゃん」である。大川興業は何も変わっていなかった。上下関係というより軍の戒律を思わせる縦社会まるだしのトークも同じだったし、寺田体育の日のポジションとツッコミ技術が10年前から何ら上積みないところも。