情熱大陸の平熱半島に在住

ひねもすパソコンに向かって原稿を書いている。煮詰まって焦りを隠せないでいると、携帯電話のメール受信音が鳴った。ディスプレイを覗くと、久しぶりに旧友のファット森田の名前が表示されている。サブジェクトは「ボス出演」。
「われらが永ちゃんが今夜の『情熱大陸』に出ます。楽しみだー」
無視して筆を進めていると、また新たな受信が。
「忙しいのか? まあ俺が目に焼きつけて後で再現してやるから、君は仕事に打ち込みなさい。ヨロシク!」
やがて時間は23時を超える。一応テレビをつけながら仕事していると、リハーサル風景を追う画面にドラマーのジェフが現れた。私が2年前に行った武道館公演で、矢沢永吉に「俺が信用しているバンドのリーダー!」と紹介されながら、シースルーを着て乳首を剥き出しにしていたニクイ男だ。早速、メールの受信音が響いた。
「乳首ドラマー ジェフ・ダグモアも出てるぜ! YES!」
………………。
私は静かに一つ息を吐くと、「ダグモアで一句」と題したメールを速射砲のように送りつけた。
「ダグモアが 今日も刻むぜ チクビート」
「ダグモアが 乳首をいじると 変拍子
「ダグ乳首 こすると出るかな スネア音」
「乳首上 余ったピックを 貼ってみる」
「複乳を ツインドラムと 呼んでます」
「エアロビを ダグモアやれば チクビクス」
「ドラムソロ 負けじと(奈美)悦子が チクビソロ」
「乳輪の 再生可能な チクビデオ」
「砂掘って 母乳が湧いたよ チクビーチ」
「ぐるぐると 乳首が回転 トミー・リー」
デフ・レパード ドラムを叩くぜ 片乳首」
「ビクトリア ダグモアガールズ チクワナビー
これらが効を奏したのか、以来、森田からの連絡は途絶えた。そして私の仕事も終わっていない。