ハリセンボンのクリスマスプレゼント(シアターブラッツ)

大入りの会場で後方に席を見つけると、周囲は魔裟斗応援シートを凌駕するほど近藤の身内&幼なじみでギッシリ。後にいた友人らしき子は開演前から「ああん始まっちゃうよどうしよう」と身勝手な緊張で震えだし、開演で暗転するや「うわわわわわ緊張緊張緊ウギギギギー」とリアル・レギュラーの西川を思わせる沸点到達で、暗闇の中でも白目を剥くのがはっきりと分かった。
そんなピアノ発表会的環境に身を埋めて始まったライブは、お稽古ごとからもっとも遠い内容に。身内満載なのにキレイに滑っていった河童コント以外はどれもレベルが高く、特にボケ・ツッコミの枠組がない婦人警官コントが傑作。さらに肉体の80%が事情通で構成されている私のもとに入った情報によれば、とある都合から漫才を合わせた時間は極端に短かったとか。それでいてあの出来は。デビュー2年目であそこまで持っていくのか。すこぶる達者な近藤はおそらくサバを読んで本当は岡本夏生と同期か(戦前生まれ)、母の胎内で発酵するまで熟成を極めていたのだろう。とにかく花が開花するその時を瞬間高速のカメラで押さえたようなライブ。その花自体は食虫植物ようなフォルムなので、「ハリセンボン」改め「ウツボカズラ」「モウセンゴケ」とか名乗ってもいいかもしれない。