短波放送はオリエンタルなラジオ

現在、発売中の『QJ』はラジオ特集。その中で異彩を放つのは佐野元春インタビューで、珠玉の言葉が滾々と湧いている。
「ラジオというメディアの一番の特質は、ワン・トゥ・ワンのコミュニケーション」「ランニング・オーダーはひとつのサイエンス」「僕はオール・アクセス・フリーといった感じで」「キッズ、ユースたち」「いわゆるアダルト・オリエンテッドなリスナーに向けて」「コア・ファンの間では随分ハプニングしたけれど、残念ながらそれほどダイナミックな広がりは見せなかった」「ジャーナルという点でいえば、ハイライトは何といっても」「レコードカンパニーにしてもラジオ・ステーションにしても」「これは僕流のエアプレイ・リストの持っていき方」
言語感覚がコントに出てくるロック・スターのそれ。「ハイライト」って漫画トリオ以来、久しぶりに聞いた。こんなラングエイジのユーズをするライターは片岡義男しかいないとイメージしたら、ネクスト・ページからミラクルにもカムカムアピアーのインストアナウ。しかしよく見ると使われている片仮名は「アナウンサー」「アンケート」「アメリカ」程度なのだった。
だが取材したライターは思い切り感化された模様で、こんな文章を途中に挟んでいる。
「(佐野のラジオは)街の空気をドキュメントして伝えてくれた。最良のヤング・パーソンズ・ガイドであると同時に、台頭する内外のストリート・ムーヴメントをリアルにレポートするブロードキャスターでもある−−メジャー・フィールドでここまでやったアーティスト=DJは佐野元春しかいない」
QJ』はカタカナの分量で原稿料が決まるのだろうか。それなら「ラジオ」を「レディオ」にすれば一文字分稼げるのに。