新ネタ!ピン祭り!!(ルミネtheよしもと)

喫茶店で芥川賞候補作が掲載された西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』を読んで、笑いを堪えるのに苦労する。帯には「暗くて、惨めで、だから可笑しくて」とあるが、「だから」というより「なのに」可笑しいのである。町田康の描く”駄目”がアニメなら、西村が恬淡と綴るそれは実写の装い。西村賢太、君は日本のブコウスキーだ。と言い切る勇気はないので、君は西巣鴨の車谷長吉だ。と控えめに言い放っておこう。
そして読後にピン芸人が蛸集するルミネへ。芸に逡巡が垣間見れた、南野やじ、くぬぎ富士彦、井上マーに何ともいえなさを覚える。芸人に対して「暗くて、惨め」なんて無神経な言葉を使う気はないが、迷いや悩みが芸に滲み、見ていてスキマ風を浴びている気分になった。
しかし迷いや悩みが螺旋状に200周ぐらい回ってしまったレイザーラモンRGになると、逆に笑えてくるのだからお笑いは不思議。そこにあるのは「暗くて、惨めで、だから可笑しい」世界なのである。さらにRGの後には、粗野のバトンを引き継いで増谷キートンが登場。全身網タイツ、頭部に覆面、股間にミニチューブというSM三種の神器姿をさらしながら、振り回す鞭で空を飛ぼうとしていた。芸歴9年目にしてその芸風揺らぐことなし。そこには迷いも悩みも何もない。