圧力団体2006〜春の陣〜(スタジオドリームメーカー)

GWで混み合うお台場へ。ただでさえ主体性が揺らぐ無機的都市なのに、会場に到着すると待ち時間をガス室のような空間で過ごせとフジテレビナチスから人権無視の強要を受ける。結果、席に着く頃に500名ほど押し寄せた客は一様に虚勢された山羊のような表情を浮かべていた。
さてライブはといえば大阪NSC13期の同窓会というより、元・満の諸岡を中心に90年代中盤に東名阪で若手として吉本に関わっていた芸人が大集合。豪華すぎる顔ぶれの中、もっとも異彩を放っていたのは野性爆弾だった。チュートリアルは徳井の狂気を、ブラックマヨネーズは吉田の神経質ぶりを前面に押し出すことで評価を受けた。次長課長は大阪から東京に拠点を移すことでブレイクするきっかけをつかんだ。どの芸人もおよそ10年の芸歴を経て、何かを変えて何かを捨てて売れていったのである。しかし野性爆弾は。しっかし野性爆弾は。この日披露した「犬と犬とメガネ」ネタはネタと呼ぶのが恥ずかしいぐらいに意味がなくて、とても30年生きてきた人間が作ったとは思えない莫迦々々しさ。私は涙を流して笑った。他の芸人が世間に対してキレイな汗の見せ方を学んだとしたら、野性爆弾は摂った水分をそのまま尿として垂れ流しているだけ。変わらないことの素晴らしさよ−−と私が感動するはずもなく、その尿を一体誰が拭くのだろうと思った。