T・K・王杯”ファンタジスタの集い”(SPACE107)

会場に足を踏み入れると過疎化が進んだ客席に驚き、ライブが終わってロビーに出ると挨拶に出迎える松竹芸能東京養成所の生徒の多さに愕然とする。客席の骨密度の低さを露呈させないため、公演中は席に座っていた彼ら。芸人もファンタジスタだが、スタッフと客の二役をこなした君たちも十分ファンタジスタだ。
さてライブはといえば、T・K・Oの二人がコーナーで仕切りとボケのキレイな対角線を描いて、キャリア相応の力を見せつける舞台に。しかしそれ以上に私の心をつかんだのは、若手ながらも身分不相応に子供を養い、所帯じみた漫談を繰り出すピン芸人・代走みつくに。事務所ライブで見るスベリ芸はたいてい仲間がツッこんだりして事後処理というキレのよさで成立するものだが、代走みつくにがほどよく脂の抜けたギャグを放つと客席は見事に微苦笑モードに。久しぶりにコクのあるスベリ芸を見た。特にブリッジ「なんのこっちゃね〜」の後に続く余計な「ね〜のね〜」がたまらない。みつくにの動きと声だけが静寂の中を駆け抜けていくあの瞬間、右足には体重以上いや地球3個分の負荷はかかっていそうだ。みつくにの膝が壊れるのと子供の首が座るのと、どっちが先だろう。