友近単独「高いところから失礼をしております」(ルミネ the よしもと)

3年ほど前、関東では絶対無名の友近を見るためルミネに行ったことがある。おそらく東京での初舞台。「お笑い養成所で自分を面白いと勘違いしてる素人」を演じて、キレイにスベっていた。そして今日の単独を見るかぎり、売れるべくして売れた技術とよく売れたもんだと首をひねりたくなる意固地さ、という当時から揺るがない姿勢は何ひとつ変わっていなかった。ただ違うのは劇場に笑いが満ちていたことだけ。
さてネタは「結婚式風のスピーチ」「きみまろ風ジョークの説法で調子に乗るお坊さん」「毒舌の女DJ」など、つまらない喋りを面白いと過信するキャラを演じて、素直に客を笑わせない裏拍のリズムに。と思っていたら客演にハリセンボンを迎えた頃から調子に乗り出し、ディランマッケイ役のプラン9・灘儀とハイスクール芝居で一戦交える時には、バカテク同士がソロプレイで争うかのように二人の呼吸がかぶりまくる前ノリになっていた。
さらに極めつけは尺を無視&やりたい放題の幕間映像。最後なんてクラプトンの『レイラ』の曲に合わせて故郷・愛媛の物産(RGを含む)を紹介するフリーダムぶりだ。自分が面白いと思うことを追求するあまり、もちろん客は置き去りに。あれはもう前ノリといったレベルではなく、ライブ前日に誰もいない会場で一人で弾き語りを敢行するようなノリ。それはもう前泊だ。