愛山・喬太郎二人会(お江戸両国亭)

仕事もなく暑さにひからび、夏の真ん中に放り出された私は午後の長い時間を裾上げするために演芸場へ。売れない芸人を主人公にした神田愛山の私小説講談「べら」は、全自由業者の心に染みわたる薄暗い内容で、両国亭のつつましい冷房以上の効き。体温を35℃以下に下げてくれた。
ところで柳家喬太郎と神田愛山、はたまた喬太郎と二人会を続ける入船亭扇辰の3人は白髪が共通項であることに気づく。なぜ寄席の芸人は白髪を隠さず、いわゆるテレビに出てる”お笑い”だと白髪は誇示しないくせに薄毛をフィーチャーして笑いを取るのだろうか? 理由を思索した挙句、出た結論は「内田裕也ならどちらの舞台でも天下を取れそう」。暑いとこんなもんだ。暑くて仕事もなくて水のないプールにいるんだって今年は。