寄席ダイノジ 柳家喬太郎vsダイノジinフランス座(浅草東洋館)

柳家喬太郎の「ハワイの雪」にダイノジがカメオ出演したり、3人で三題噺に興じたりとお祭り要素の濃い舞台。数分で構想を練った喬太郎の三題噺「浅草・職人・ホームラン」が面白いうえにずんずん進むものだから、その落語脳の鋭さに怖さすら感じた。
それに対して本寸法の怪談噺で客を怖がらせようとしたのがダイノジ・大谷ノブ彦の落語「お菊の皿」。これが10年以上の芸人生活で培ったインサイドワークと脚力を武器にグラウンドに出たら、競技場の気圧が違いすぎて過呼吸を起こしたような出来に。緊張しすぎたのか、普通顔だけで切る上下が膝の先から動いていた。これはこれでトータルとして怖い。
そして終演後、舞台裏に挨拶に行くと、高座では封印していたお菊以上の凄みで「オレが「お菊の皿」に挑戦したことは一切ネットに書かないように……」と迫りながら、事実もみ消しを臭わせる大谷氏。その瞳の奥に「お笑いの鉄則として本当はその逆。いっぱい書いてくれ!」のメッセージは全く見出せなかったけれど、なぜか私はこうして見たままを書いています。どうかこの文章が見つかって、膝の皿を6枚に割られませんように。(サゲ。緞帳下がる)